多重役割制約
釘宮(2008)を見ていて、ふと気付いた。こんな札がある。
「出前にいってくるあるよ! なんで今日に限ってこんないそがしいあるか? お待たせしましたある! ラーメン2丁お届けにあがったある!」
「あれ? ここってお前の家だったあるか? ふーん…そうあるか…ま、また注文するよろしいね。届けてあげてもいいあるよ……た、たまには出前も役に立つあるね」
(李 凜凜(り らんらん))
いわゆるツンデレなのであるが、それ以前にこのキャラは「アルヨ言葉」という役割語を用いている。中国人という属性を表出させているのですな。ツンデレ属性+中国人属性という、わりと珍しい表現である。
そこで、とある妄想を思いついた。
こういう疑問である。ためしに、典型的な役割語である「博士語(老人語)」と「アルヨ言葉」を重ねてみよう。
(3)(4)は明らかに変。(2)も中国人属性だけが前面に現れ、博士属性はかなり影を潜めてしまっているように感じる。
「博士語(老人語)」と「お嬢様言葉」なんてのは、そもそも属性的に矛盾しているので、重ねることができない。
……ということはだよ、もしかして、役割語ってのは重ねることができないんじゃないか? まあ、大半の役割語が文末表現形式なので、文法的に無理ってのもあるけど、役割という面でも無理ということが言えやしないか。
仮に、この「一回の発話で役割語は一種類しか使えない(重ねられない)」という規則を「多重役割制約(Multiple Role Constraint)」とでも呼んでおこう*1。
ここで、冒頭の「ツンデレ+中国人」属性に戻ると、ものの見事に二つの属性が重なっている。しかも萌える。これをどう扱うかってのが気にかかるところ。可能性としては、
このどちらかとなる。しかし、(a)は簡単に否定できる。なぜなら、あらゆる役割語にツンデレが重ねられるからだ。
となると、(b)の妥当性が非常に高くなる。ツンデレは役割語ではないのか? ではいったい何なのか? そもそも多重役割制約なんて存在するのか?
あー、いつものように超テキトーな妄言なので、華麗にスルーしてくれ。