ネ言 negen

たいしたことは書きません

真・難解な日本語

「新」よりも「真」がふさわしそうなので変えてみた。おそらく日本で一番『リアル鬼ごっこ』を熟読しているんじゃないか、俺って*1。しかし、オリジナル版(文芸社版)はスゴイぜ。そびえ立つ高い壁だ。全てが“高い壁”それ以上の単語が見当たらない程、高い壁。

用例採取と傾向のまとめに思ったより時間がかかってるので今日は一つだけ。

右斜めに進路を取った。翼もそれに続いた。今度はすぐに前、右、左と三つに分かれた道に出くわす。
 (『リアル鬼ごっこ』(文芸社), p.182)

前、右、左……それってただの十字路じゃん! しかも、これ、文庫版の校正も間違ってて、

すぐに今度は三叉路に出くわす。
 (『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫), p.177)

三叉路になってる。三叉路ってのは「Y」の字みたいな形の道路のこと。交点から三つの道路が延びているのが三叉路。オリジナルのほうは文脈から判断すると、自分たちが通ってきた道の他に「前、右、左」の道路があることになる。したがって、これは単なる十字路であって三叉路ではない。著者の語彙の少なさにもあきれるが、校正の中の人もちょっと……。もしかして、この変な日本語に毒されたか?

*1:この本は少なからず読者の日本語能力に影響を与えるので読みすぎには注意しましょう。