ネ言 negen

たいしたことは書きません

踏まえること

はてブで見つけた。「論文博士 疑惑」の単語が目に止まったので読んでみた。
 サントリー学芸賞事件+九州大学論文博士審査にまつわる疑惑
一連の話の流れのリンク集はこちら↓
 http://d.hatena.ne.jp/komogawa/20061109


マンガ論や文学論なんかは全くの門外漢だし、件の本も読んでないので、具体的な内容に触れることはできないが、リンク先をいろいろ読んでみて分かるのは件の本が「先行研究をないがしろにしたもの」であることだ。

それだけならただのくだらないエッセイ本で何の問題もないのだが、その本って「博士」の学位論文*1を元にしたものだからたちが悪いし、だからこそ批判があがっているのだと思う。


学術研究の基本って先行研究だよ。


  「どこまでが明らかになっていて、どこからが明らかになっていないのか」
  「明らかにした方法や手順が間違っているか、いないか」


という前提を踏まえておかないと、思いこみ垂れ流しの主観論になるか、車輪の再発見になるのがオチである。

研究をする私たちが今立っているのは堆く積み上げられた先行研究の山の頂上である、という認識が必要なのだ。なので、(読んでいない私が言うのも何だが)件の本は「山のふもとで主観を叫んでいるだけ」なように思える。

客観的、理論的な構築がない(あるいは不十分な)ままの研究が博士論文の名を戴いてしまい、あまつさえ著名な賞までもらってしまったことは非常な問題だと思う。それをもらうほうも、与えるほうも。

分野違いだからと見過ごしていい話ではない気がする。*2

*1:しかも某Q大学。

*2:ゲーム脳」とか「水からの伝言」とかも、研究人生を歩むものにとっては笑い話で済むものではないのかもしれない。