難解な日本語2
先日書いたネタの原典を買ってきた。山田悠介『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫)だ(右の写真。isbn:4344405137)。
手に入った本は「平成17年1月30日第11版」。ずいぶんと直しが入ってる様子。カバー裏には、
若い世代を熱狂させた大ベストセラーの〈改訂版〉。
とある。さらに、本の最後には次のような一文が。
この作品は二〇〇一年一二月文芸社より刊行されたものを大幅に加筆、訂正したものです。
うははははは。投稿論文じゃあるまいし、小説を加筆、修正かよ(笑)。ということは、残念ながら、先日引用したようなハジケた日本語は影を潜めてるわけね。
で、さっそく読み進めようと思ったが……。
西暦三〇〇〇年。人口約一億人、医療技術や科学技術、そして、機械技術までがかつてないほど発達し、……
(『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫), p.7)
現在、翼の住む王国は、すでに三十世紀を迎えていた。
(同, p.13)
あのー、西暦3000年代は31世紀ですが、何か? ん? もしかして、31世紀は3001年からだから、3000年は30世紀とでも言い張る気か。だったら「すでに〜迎えていた」という表現はおかしくなるぞ。後一年しかない30世紀を「すでに迎えていた」とは非常に言いにくい。
西暦2000年を指して「すでに20世紀を迎えていた」と言えないのと一緒。「すでに30世紀を迎えていた」から解釈できる年代は、2901年から2950年ぐらいまでか。半分を過ぎちゃうと「すでに〜迎えていた」は微妙におかしくなるね。
たしかに論理的には間違っていない。が、日本語表現としては変だ。この不自然さは、「すでに」とか「ている」のアスペクト絡みで説明できるかな?
出鼻をくじかれたので激しく体力消耗。続きはまた後日。
(……てか、このペースでやっていけるのだろうか。論文の締切も近いんだけど(爆。)
追記
もう一つだけ、今日中にツッこんでおきたい。でないと落ち着いて寝られない。
先代が早くこの世を去ったために第百五十代目となった王の年齢は弱冠二十一歳。
(同, p.13)
舞台は西暦3000年の日本。この頃は王制になっていたという設定。……だけど、仮に明日から王制になったとして、約1000年で150代目の王様って……。一代の在位期間は平均6年だよ。6年で王様が交代しまくる国って、
本当にどこの国も羨むほどの平和な国だった。
(同, p.14)
本当に平和と呼べるの? もしかして在位期間とか考えずに適当に150とかいう数値を出してないか?
あ、そうか! パラレルワールドだ!