ネ言 negen

たいしたことは書きません

新・難解な日本語

山田悠介『リアル鬼ごっこ』(文芸社)

リアル鬼ごっこ』のオリジナル(文芸社版)、キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!
ざっと流し読みしてみたけど、文庫版と全然ちがーう。オリジナリティあふれる日本語が泉のように湧き出てくるー! あの有名な例も、

 二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた。
 (『リアル鬼ごっこ』(文芸社), p.137)

ちゃんとあったよ。なんか、この例を見つけたとき、妙な安堵感を覚えてしまったのは毒されているからか(笑。

うむー、これからはオリジナルと文庫版の比較検討もしなきゃあな……。今日は一つだけ。

二人とも自ずと気の入れ替えが行われていた。
 (同, p.221)

意味が分かんねー。気功かなんかですか? この表現が文庫版では、

二人とも気持ちの切り替えは早かった。
 (『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫), p.211)

こう変わる。いやはや、編集者さん、ご苦労様です。

追記

ダメだ。やめられない、とまらない。

それから一年経った最後の大きな大会では見事全国大会に出場。
 (『リアル鬼ごっこ』(文芸社), p.36)

文庫版では、

それから一年後には全国大会に出場。
 (『リアル鬼ごっこ』(幻冬舎文庫), p.39)

このように修正。もう一つ、

それから二人の“ワル”はピタッと止んだ。あの時の二人はことわざにある、
“小人閑居して不善を為す”まさにそれだった。
 (『リアル鬼ごっこ』(文芸社), p.139)

ことわざの用い方が文意に即していない。ことわざ通りだと、二人はちっちゃくてみみっちい人間ということになる。二人のキャラクターは逆なので、これは間違いと断定できる。案の定、文庫版ではことわざ部分は全削除されてる(笑。下手に覚えたてのことわざを使うと失敗するという好例。

あと、“ワル”などという死語も出てくるが、華麗にスルーで。